欧州特許庁(EPO)に対する手続きの規則は、EPC規則(EPC Rule、EPCは欧州特許条約のこと)にまとめられています。

私が、初めてEPOに対する手続きを行うことになったとき、まずは、EPC規則に基づいて、手続きの期限日を正しく求めることを教えられました。

EPOに対する手続きとして、例えば、PCT出願を欧州特許庁に移行するとき、EPOから、6ヶ月以内に1回だけクレームを補正する機会が与えられることが通知がされるのですが(EPC規則161及び162に基づく通知)、それに応答するという手続があります。

この場合、手続きの期限日は、通知がされた日から6ヶ月後である、と考えるのですが、EPC規則126(2)には、郵便による通知のルールとして、郵便物が引き渡された後、郵便物は宛先に10日後に届けられるとみなす、と規定されています。そのため、郵便による通知がされる場合、実際に通知がされた日に10日を加算した日が手続きを行う期間の初日となり、その日から6ヶ月後にあたる日が期限日となります。

例えば、2019年2月10日に通知がされ、6ヶ月以内に何らかの応答の手続きをする場合、「本当の」期限日は、2019年2月10日に10日足した2019年2月20日が期間の初日で、その6ヶ月後の2019年8月20日が期限日となります。

このように、EPOに対する手続きにおいては、本来手続きを行う期間に10日間の猶予期間(grace period)が付加されるのですが、この10日間を正しく加算した上で、期間日を求める必要があります。

EPOから何らかの通知がされた場合、現地代理人からレターをもらいます。レターには現地代理人によって期限日が記載されることがあるのですが、その期限日は猶予期間を含んだ期限日かもしれませんし、そうでないかもしれません。また、出願人に対しても、猶予期間なしの期限日又は猶予期間を含んだ期限日を正しく伝えなければなりません。

期限日を徒過することは厳禁ですので、まずは、自分自身で、ちゃんと期限日を正しく求め、把握する必要があります。

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nakamura
nakamura弁理士